よくある質問

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並行輸入を止めさせたい。行き過ぎた並行輸入阻害はどのようなものか。 その2line

 並行輸入を止めさせる販売の側面からの検討については、公正取引委員会事務局が作成している「流通取引慣行に関する独占禁止法上の指針」をまず、理解しておく必要があります。

 公正取引員会が問題になると考えている方法は、次の7つです。
(1) 海外の流通ルートからの真正商品の入手の妨害
(2)販売業者に対する並行輸入品の取扱い制限
(3) 並行輸入品を取り扱う小売業者に対する契約対象商品の販売制限
(4)並行輸入品を偽物扱いすることによる販売妨害
(5)並行輸入品の買占め
(6)並行輸入品の修理等の拒否
(7)並行輸入品の広告宣伝活動の妨害
 そして、公正取引委員会が問題にするのは、上記(1)~(7)が価格を維持するためになされた場合です。別の目的でなされれば、問題ありません。
 もっとも、上記(1)~(7)を行い、「価格を維持するために行ったのではありません。」といえば、直ちに許されるというものではありません。この主観的意図は、当該行為が行われた状況を総合的に考慮して判断されるので、注意が必要です。

 価格を維持するために行わないければ良い、ということから、公正取引委員会は、次の場合は、問題ないと述べています。
[1] 商品仕様や品質が異なる商標品であるにもかかわらず,虚偽の出所表示をすること等により,一般消費者に総代理店が取り扱う商品と同一であると誤認されるおそれのある場合
[2] 海外で適法に販売された商標品を並行輸入する場合に,その品質が劣化して消費者の健康・安全性を害すること等により,総代理店の取り扱う商品の信用が損なわれることとなる場合

 それでは、上記(1)~(7)について、少し見ていきます。
(1) 海外の流通ルートからの真正商品の入手の妨害
 具体例として、公正取引委員会は以下の挙げています。
[1] 並行輸入業者が供給業者の海外における取引先に購入申込みをした場合に,当該取引先に対し,並行輸入業者への販売を中止するようにさせること
[2] 並行輸入品の製品番号等によりその入手経路を探知し,これを供給業者又はその海外における取引先に通知する等の方法により,当該取引先に対し,並行輸入業者への販売を中止するようにさせること

 総代理店制を維持するため、上記[1][2」は、必要な行為ですが、価格を維持するために行われる場合は違法になります。
 さらに進んで、総代理店と海外の権利者間の契約書には、「海外の権利者は、総代理店以外に、日本に販売する事業者には販売しない」 との条項が置かれるものであるが、海外の権利者自ら販売を禁止したり、その直接の取引先の積極的販売を制限するにとどまる限り問題ないが、総代理店が、海外の権利者に対し、販売しないようにさせることは違法となる考えられています。

(2)販売業者に対する並行輸入品の取扱い制限
 これは、例えば、並行輸入品を取り扱う販売業者に対し出荷を停止したりし、平行輸入品を取り扱わなくさせることです。

(3) 並行輸入品を取り扱う小売業者に対する契約対象商品の販売制限
 これは、総代理店の取り扱う商品を扱う卸売業者に対し、当該卸業者から仕入れをしている並行輸入品を販売する小売業者に、手段を問わず、並行輸入品を販売させないようにすることです。

(4)並行輸入品を偽物扱いすることによる販売妨害
 これは、客観的に偽物と認められる事情がないにもかかわらず、 並行輸入品が安売りされていることから、偽物扱いし、その販売中止を求めることは行き過ぎ、という考え方です。
 偽物扱いは、直接的・間接的な方法があり得ます。たとえば、総代理店が検査済みというシールを貼る方法も例として挙げられています。

(5)並行輸入品の買占め
 これは、一般消費者向けに広告しているのに総代理店に買い占められると,その購入を目的に来店した消費者からおとり広告ではないかとのクレームが付き,次の販売についての信用を失うことになるため、認められていません。

(6)並行輸入品の修理等の拒否
 これは、並行輸入品が修理できないことにすることで、並行輸入品の購入を妨げる行為です。
 この方法は、禁止されていますが、並行輸入品の修理等の責任が総代理店側にあるという趣旨ではありません。修理できない正当な理由があったり、または、価格を維持するためでなければ、許されます。
 修理料金を差別することの可否などの問題もあり、この点は、ケールバイケースで、複雑なので、許容され得るか、個別具体的に検討しなければならない方法です。

(7)並行輸入品の広告宣伝活動の妨害
 これは、並行輸入品の広告宣伝活動が商標権侵害になったり、不正競争防止法に違反する事情がないにもかかわらず、広告宣伝活動を妨害することです。
 妨害の方法として、広告業者に並行輸入品の広告掲載の中止を要求する方法などがありえます。

 以上が並行輸入を止めさせる販売の側面からの検討になります。
 もっとも、現実の取引の世界では、上記であげたような事情があったとしても、そもそも、公正取引員会が着手してくれるのか、着手したとしても、公正取引員会がどこまで証拠を収集して、立証できるか、という問題があります。
 下請法違反の事案で、書面である程度の資料を整えて、申立てを行ったのですが、全く、動いてくれなかった経験があります。

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弁護士 藍原 義章
弁護士 鳥生 尚美
(第二東京弁護士会所属)

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