私傷病休職ーその1:私傷病休職とは何か?
私傷病休職とは何か?
まず、休職とは,ある従業員について労務に従事させることが不能又は不適当な事由が
生じた場合に,雇用者がその従業員に対し労働契約関係そのものは維持させながら,労務への
従事を免除すること又は禁止することをいいます。
そして、私傷病休職とは、業務外の傷病による長期欠勤が一定期間(3か月ないし6か月
程度と定められることが多いが,1年を超えることもある。)に及んだ場合に行われ、休職
期間(勤続年数や傷病の内容により期間が異なる。)中に傷病から回復し就労可能(治癒)
となれば休職は終了し,復職となる一方,回復しないまま期間満了となれば, 自動退職又は
解雇とするもので,解雇猶予を目的とする制度と考えられています。
休職の内容等については法律上の規定はなく、休職制度は、労働基準法上、就業規則の任意
的記載事項とされ(同89条)、雇用者が休職制度を採用するか否かは自由で、休職事由、休職
の効果等の内容も労働基準法等の強行規定に抵触しない限り自由に決めることができる(労契7
条)とされています。したがって、休職に関する法律関係を判断するには、それぞれの休職規程の内容
を個別的に検討するしかないとされています。
なお、私傷病休職となると、就業規則等で賃金の支払を認めていない限り、ノーワク・ノー
ペイの原則から、賃金の支給はなされません。そこで、傷病手当金を請求することになります。
傷病手当金は、標準報酬日額の3分の2に相当する額が傷病手当金として支給されます
(健康保険法第99条,第104条)が、復職した期間を含めて1年6ヶ月しか支給されません。
そのため、労働者
は、無理をして復職をするよりも、焦る気持ちもあるでしょうが、
治療に専念し、復職した方
が、経済的には有利だと考えられます。また、雇用者も、
傷病手当金の制度について、労働者
にしっかり説明することで、労働者の理解を得て、
治療に専念してもらった方がいいのでは
ないでしょうか。
H29.12.2現在