私傷病休職ーその4:休職事由の消滅の判断
休職期間が経過した場合、復職の申出があった場合、休職事由が消滅しているか否かが
問題になってきます。
原則として,従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したときを意味し,それ
に達しない場合には,雇用者が当該労働者の就労を拒絶し,休職期間が満了しているならば、
解雇又は自動退職扱いすることは、原則として、違法ではありません。
しかし、片山組事件判決によると、職種等を限定していない労働者については、休職期間
満了時に、休職前の業務について労務の提供が十分にできるほどには健康状態が回復して
いなくても、現実に配置可能性のある他の業務があり、その業務につき労務提供を十分に
できる程度まで健康状態が回復していれば復職が可能となります。
また、職務限定特約がある場合でも、当初軽作業に就かせれば程なく通常業務に復帰できる
場合には,雇用者にそのような配慮を行うことが義務づけられる場合があるとされる場合があ
るので、注意が必要です。
以上から、雇用者は休職期間満了時に、労働者の復職につき従前業務からの配置可能性の
検討や一定の猶予を与えるなどの配慮をする必要があると言えます。そこで、雇用者は、従前
業務に従事させる可能性・その場合の配慮の内容、別の職務に就かせる場合にはその理由、
別の職務の存在等に関して労働者と十分な話し合いをすることが必要です。
このような配慮をしても、復職が難しい場合は、解雇することになります。その際、休職に
関する規定を確認する必要があります。休職期間満了時の休職事由の不消滅を解雇事由の一つ
と規定していると,雇用者の解雇の意思表示によって退職の効果が生じるため,即日解雇を
した場合には解雇予告手当の支払が必要になり,解雇予告手当の支払義務を免れるためには,
休職期間満了の30日前に予告する必要があります。他方、自動退職規定ですと、雇用者は
このような対応をする必要なく、退職させることができます。
H29.12.4現在