私傷病休職ーその5:受診命令
雇用主が従業員を休職させる場合、休職を認める場合、また、休職期間を満了し、
休職事由の消滅を判断する場合には、雇用主には慎重な対応を求められ、その
一貫として、医師による診断をさせたいと考える場合がある。そこで、従業員
には、雇用者の受診命令を拒むことができるのか、という問題がある。
この点、就業規則に業務命令として受診命令が規定されている場合、受診命令
の規定の内容が合理的であり、診察を求める合理性·相当性があれば、雇用者は、
従業員に対して、当該規定に基づいて受診命令をすることができるとした電電公社
帯広局事件の最高裁判例がある。
他方、就業規則により、受診命令が規定されていない場合、雇用者が従業員に対
し専門医の診断を受けるように求めることは、「労使間における信義則ないし公平
の観念に照らし合理的かつ相当な理由のある措置である」とした高裁判例を是認
した京セラ事件の最高裁判例がある。
以上から、受診命令が合理的ならば、受診命令に従う義務が従業員にあると考え
られます。
H29.12.4現在